車椅子のお友達が教えてくれたこと 

心のバリアフリー 障害者と分け隔てなく人間関係を築いていた息子さん

息子の学校には知的障害や発達障害を持った子供たちが通う学級もあり、

エレベーターや車椅子用トイレがあるなど

バリアフリーが進んでいたりと、

障害を持った生徒もそうではない生徒も

当たり前に一緒に学校生活を送っていました。

 

そして息子の学級にも一人、

車椅子で生活をする男の子がいました。

 

その子にはいつも介助をする先生が一人ついているらしく、

私は彼は学校で友達がいるのかなあと心配していました。

教師とは大人です。

子供には子供同士の社会がありますし、

つきっきりでいつも大人が一緒にいる生徒なんて、

もし私がクラスメイトだったとしても近寄りがたいと思います。

でも休み時間にトイレに行くことが移動教室を考えると

先生が一緒にいたほうがいいことも十分に理解できます。

難しいなあと思っていました。

 

4年生になるとクラブ活動が始りました。

息子の親友がミニバスケットボールのクラブに入ると言っていたので

てっきり一緒のクラブに入るのかと思いきや、

息子はやったこともないバドミントンクラブに入ると言い出しました。

これには私も夫も驚き、息子の親友はぎりぎりまで説得を続けていましたが

息子の決意は予想以上に固く、

本当にバドミントンクラブに入りました。

 

バドミントンのラケットは学校で貸してもらえましたが

せっかくだからと一つ買うことにしました。

これには息子も大喜びで、家でも素振りをして嬉しそうでした。

でもなんでバドミントンだったんだろう。

好きな子でもいたのかな。

何度か聞いてみましたが全く教えてくれません。

 

ある日の午前中、学校から電話がかかってきました。

担任の先生は「どうやらバドミントンのラケットをバスに置き忘れてしまったみたいで…」

と困ったような声で言いました。

息子はもしかしたら誰かが届けてくれるかもしれない

といてもたってもいられなかったようで、

それを聞いた担任の先生が電話をしてきてくれたのです。

貴重な休み時間にお電話をいただいてしまい申し訳なく思いましたが、

先生は「とても大切にしていたのを僕も見ていたので、

早く連絡したらもしかしたら見つかるかもしれないと思いまして」

と優しい言葉をいただいました。

 

息子が通学のために毎日乗っているバス会社に連絡すると、

先生の予想通り、乗客の方が見つけて

運転手さんに届けてくださっていたようでした。

とくに急ぎに用事もありませんでしたし、

バス会社にラケットを取りに行ってそのまま小学校に届け、

帰りにスーパーに寄ることにしました。

 

バス会社からラケットをお返しいただき、小学校に行きます。

入り口のインターホンを鳴らすとたまたま担任の先生が出てくれました。

ちょうど次の時間がクラブ活動の時間なので

息子は体育館にいると聞き、

ちょっとだけ覗かせてもらうことにしました。

 

体育館でちょっとだけ顔を出し、

息子を手招きしてさっと渡すつもりでしたが、

すぐに同級生の子たちにバレてしまい「なんでいるの!?」

と大声を出されてしまって私も息子もかなり恥ずかしい思いをしました。

 

息子は体育館で、あの車椅子の同級生と一緒にいました。

その子もバドミントンのラケットをもっていました。

 

先生の笛の音が鳴り、クラブ活動の時間が始まります。

息子は車椅子の男の子とバドミントンのネットを挟んで対面し、

ぱしっぱしっと羽根の打ち合いを始めました。

 

もちろん車椅子は競技用のものではないので小回りは効きませんし、

片手にラケットを持っているので移動することはできません。

それでも息子はうまく彼が打てる範囲に羽根を落とし、

そして車椅子の男の子もポーンと高く飛ばし

息子が打ちやすいところに返します。

そのラリーは他のどのペアよりも長く続いていました。

 

家に帰って息子に「彼とそんなに仲良かったんだね」と言うと、

なんだか聞かれたくなさそうに「最近ね」と言いました。

 

まだ息子が三年生だった頃、

図工の時間に絵具セットを忘れたことがありました。

息子は担任の先生に忘れ物をしたと謝りに行った時、

たまたま職員室に車椅子の男の子が居て息子の話を聞いていて、

筆を貸すから一緒に使おうと声をかけてくれたそうです。

 

息子にはクラスに仲のいい生徒が他にもいるので

彼らに借りることもできただろうに、

きっと勇気を出して申し出てきてくれた車椅子の男の子の好意を

ありがたく受け止めることにしたのでしょう。

 

図工の時間、車椅子の彼の少し大きい机とをくっつけて、

二人でひとつの絵の具セットを使って絵を描いていたとき、

向こうが「なんのクラブに入るの?」と聞いてきたそうです。

 

息子は「ミニバスケットかなあ」と答えると、

車椅子の男の子は「俺はボール系できないからなあ。

パソコンクラブにしようかなあ」と言います。

「ボールじゃないならできるの?」

「バドミントンならよく先生とやるよ」

「じゃあバドにしなよ」

「一緒に入ろうよ」

 

息子は少し悩んだそうですが、絵具セットの恩もあり、

バドミントンもやったことないし

いいかもしれないと思ったようで「いいよ」と返事をしたみたいです。

 

息子が誰にも言わなかったバドミンドンクラブにした理由は

彼との約束だったようです。

私はそれを聞いて思わず泣いてしまいそうになりました。

私も友達を作れずクラスに馴染むのも遅い生徒だったので、

そんなふうに自然に友達になっていてくれる人がいたら嬉しかったなあ、

と自分も救われた気持ちでした。

 

今も車椅子の男の子と息子は同じクラスにいて、

ニンテンドースイッチでフレンドになり、

夜はスプラトゥーンで通信対戦をしているみたいです。

自分と違う境遇の人とも違和感無く接して、

当たり前のように友達になれる息子が、

親バカだとは分かっていますがとても立派に思えました。

 

この記事を読んでいるパパさんやママさんのお子さんが

クラスにすぐ馴染んでしまうのが得意なのか、

それともちょっと苦手なのかは集団の中に入るまでわからないものです。

 

でも子供は集団生活の中でぐっと成長していきます。

もしいつも話さないクラスメイトと仲良くできたという話を聞いたら、

たくさん褒めてあげて欲しいです。

こ話しかけた方も、かけられた方も、

きっとたくさん勇気を出してくれたと思うからです。

 

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